歯医者に行くと必ずレントゲンの写真を撮られると思います。
何のために必要なのか、絶対に撮らないといけないものなのか疑問に思われている方も多いと思います。
今回はそんなレントゲン写真について説明していきたいと思います。これを見ていただければ、レントゲン写真を撮る重要性や違いが分かるようになります。
レントゲン撮影はよく聞く単語ですが、そもそも何なのでしょうか?レントゲン写真は簡単に言うと骨などの硬い組織の状態を確認するために行う撮影方法です。皮膚などの異常は目に見えるため診断などは比較的容易に行えますが、骨などの組織は目に見えないため、非常に診断が難しくなります。そこで活用するのがレントゲン検査です。レントゲン検査では目に見えないX線という特殊な光を観察したいところにあてます。するとX線は骨などの硬い組織は通過することができませんが、皮膚や粘膜などの柔らかい組織は通過することができます。そのため、硬い組織の形が分かり通常の形とどう違うかなどを確認することで診断することができます。歯科でいうと歯を支える骨だけでなく、歯自身も硬い組織のため、X線を通しません。
つまり、レントゲン検査とはお口の中を見るだけでは分からない歯茎の下の歯の状況や歯と歯の間の状況を見るのにとても適した検査なのです。
一般歯科で行うレントゲン検査は主に3つです。口腔外科で癌の検査などをするとなると行う検査は増えるのですが、基本的には部分的なレントゲン検査を行うデンタル撮影とお口全体のレントゲン検査を行うパノラマ撮影と立体的なレントゲン検査を行うことができるCT撮影の三種類あります。それぞれの特徴について書いていきます。
まずはデンタル撮影から書いていきます。
デンタル撮影とは口の中に入る小さなフィルムを用いて撮影する方法で、レントゲン検査の中では一番放射線量が少ないです。
メリットは、まずは少ない放射線量で行えるということです。放射線を当てる場所が狭くていいため、必然的に用いる放射線量が少ないです。放射線量は用いる量が増えれば増えるほど、癌のリスクなどが上がっていきますので、少ないほどいいです。しかし、歯科で行うレントゲン検査は用いる放射線量が極めて少ないため、0.1~2%程度の差しかないです。
次に精度が高いです。撮影する範囲が狭いため、その範囲の情報に関しては他の検査に比べてとても精度が高く、診断に用いる際によく用いられます。
デメリットは、撮影の難易度が高いということです。お口の中にフィルムを入れて撮影を行うのですが、フィルムが大きいため、しっかり押さえつけて撮影する必要があり、お口の小さい人や子供はかなりつらい思いをしてしまいます。うまく撮影できなかった場合はもう一度撮影を行う必要があるため、撮影する人の技術を必要とします。
次にパノラマ撮影についてです。
パノラマ撮影は大きなフィルムと放射線を出す機械が頭の周りをまわることで撮影が行われる方法です。
メリットは、撮影するのが比較的簡単で、お口全体の状態を確認することができるところです。合わせるべき目印が分かりやすく、デンタル撮影よりも撮る側も撮られる側も楽に撮影を行うことができます。この検査では、歯周病(いわゆる歯槽膿漏)や大きな虫歯などを同時に複数見つけることができ、お口の異常を一気に見つけることができます。
デメリットは、精度が良くないということです。全体を一枚の写真に収めているので、小さい虫歯や歯の根がどれくらいの長さあるのかなどが大体しか分からず、詳しく知りたい場合はデンタル撮影を行う必要があります。そのため、イメージとしては異常を見つける健康診断のような使い方をします。
最後にCT撮影です。
CT撮影はパノラマ撮影のように頭の周りをフィルムと放射線を出す機械が回ることで撮影を行いますが、パノラマ撮影が半周で撮影するのに対してCT撮影は一周して撮影するため、画像が立体的になります。
メリットとしては画像が立体的になるため、歯をいろいろな方向から見ることができる点です。パノラマ撮影とデンタル撮影は歯を頬側から見た画像しか撮れないのに対して、CT撮影は嚙む方向から見た画像や舌側から見た画像などいろいろな角度から歯を見ることができるため、虫歯や根の病気がどのくらいの大きさなのか、根はどこにあるのかなどをある程度正確に把握することができます。矯正治療ではCT画像があることによって、パノラマ画像では手前と奥にどれくらい倒れているかしか把握できないのに対し、頬と舌にどれくらい倒れているかも把握できるため、どのような生え方をしているかより正確に把握することができます。
デメリットとしては歯科で行うレントゲン検査の中で最も使用する放射線量が多いということです。立体的な画像にするために放射線をほかの検査量より増やす必要があるため、一番多くの放射線を使用します。しかし、歯科領域のみの撮影のため用いる放射線量は少なく影響が出る確率は極めて低いです。
今回はレントゲン検査について書いていきました。レントゲン検査は放射線を用いるため、不安な方もいらっしゃると思いますが、歯科の放射線の考え方に行為の正当化というものがあり、これは放射線の撮影による影響が撮影することで得られる情報のメリットが上回らなければ撮影してはいけないというものです。そのため、レントゲン検査は必ず必要最低限で行っているので安心して受けていただければと思います。