1日で終わる虫歯治療のメリット

虫歯の治療をしていてその日に詰めて終わる時と後日詰め物の型取りをしてそのあとに詰め物を入れて終わる時の2パターンあると思います。

2つの違いは何なのでしょうか?今回はその日に詰めて終わる治療に注目し4つに分けて説明しています。


直接修復って何?

 まずはそもそも直接修復とは何かについて説明していきます。

直接修復とは虫歯の治療における手法の一つで虫歯を治療してあいてしまった穴に直接材料を流し込んでふさぐやり方です。もう一つの手法は間接修復と言って、空いてしまった穴の形をきれいに整えて型取りを行います。型取りを基に作った模型にぴったり合う詰め物を作り、後日穴にできた詰め物を接着することにより穴をふさぐ方法です。詰め物ができるまでの間は仮の詰め物を詰めて新しく虫歯ができないようにします。

 直接修復には一般的にはレジンが用いられています。当院ではアマルガムGI(グラスアイオノマーセメント)を用いて行います。


直接修復のメリット

 直接修復の意味は分かったけど、直接修復のメリットって何?と思われる方もいると思います。続いてはメリットについてお話していきます。

 直接修復の意味が分かると真っ先に思いつくメリットはその日に治療が終わるので治療回数が少なくなるのと、仮の詰め物などで噛みづらい期間がないことが挙げられると思います。確かにこれは明確なメリットで患者さんからすれば少ない回数で虫歯の治療が終わったほうがいいですし、終わった後にすぐに何不自由なくご飯が食べれることはかなりのメリットになります。

 ここからは歯科医師として考えるより大切なメリットについて話します。それは感染リスクの低減です。間接修復との比較になってしますのですが、間接修復は仮の詰め物で過ごす期間があるため、どんなに注意深くしていても唾液が仮の詰め物と歯の間に入り感染してしまうリスクをなくすことができません。唾液には皆さんが想像しているよりもはるかに多い細菌がいるため、少し入っただけでも再び虫歯になってしまうリスクがあります。その点直接修復は虫歯を取り切って感染要因がない状態でしっかり詰め物でふさいでしまうため、そのリスクがありません。再び虫歯になるリスクを考えると直接修復はよりよい治療になります。

 しかし、直接修復を行って虫歯のリスクを低減させるのは次に説明する必ずラバーダムという処置をしなければ意味がありません。


治療する際の必需品!?ラバーダムって何?

 歯医者で治療を行う際にゴムの袋みたいなもので治療するところを隔離された経験がある方もいると思います。ラバーダムと呼ばれるものなのですが、一般の開業医ではあまり用いられてるところはありませんが、大学病院や自費の治療を行っているところではよく用いられています。

 ラバーダムはゴムに歯を通して治療するところとしないところをゴムの袋で分ける処置のことを言います。お口の中はさきほどもお話しした通り、細菌がたくさんいる唾液があるため、とても衛生状態が悪いです。そんな中治療を行って治療個所に唾液が入るなんてことが起きたら治るものも治りませんし、むしろ状態を悪くしてしまいます。そこで治療する箇所と唾液のある不衛生な箇所を分けるのがラバーダムという処置です。感染リスクの観点からラバーダムはすべての治療において必須の処置なのですが、保険ではラバーダムを用いても用いらなくても金額は変わらず、ラバーダムという処置を行うのに時間もかかるという事情から多くの歯科医院では用いられていないことが多いのが現状です。

 ラバーダムをして治療することに慣れてしまうと逆にラバーダムをせずに治療を行うことが怖くなってしまうはずです。


神経を残せる材料?MTAセメントとは!

 歯医者に通っていて困っている方に多いのが、虫歯の治療をすると言われ治療してたら神経まで虫歯が進行してると言われ神経の処置をされてその治療が長引いてるという方です。神経の処置をすると歯の寿命は短くなりますし、治療もとても時間がかかってしまいます。治療が長引くとそれだけで歯医者に行きたくなくなってきてしまいますし、感染のリスクは高くなってしまいます。

 しかし、そこで活躍するのがMTAセメントという材料です。MTAセメントという材料は神経の炎症を抑え、歯の組織を再生するという機能を持っています。そのため、神経に近くて普通なら神経の処置をしなくてはならない歯もMTAセメントを用いれば神経の処置を行わなくてもよくなります。

 実際、私自身の経験で神経まであと一歩くらいの虫歯の治療を行ってMTAセメントを置いたところ特に痛みが発生せず経過良好に進んでいる方が何人もいらっしゃいます。逆にそこまで神経まで近くなくてもMTAセメントを使わず治療した結果治療後に強い痛みなどの症状が出て神経の処置が必要となった症例もいくつも見ています。それだけMTAセメントとは偉大な材料なのです。