価値が高いだけじゃないゴールド

当院では詰め物や被せ物の治療にゴールド(金)を用いています。

金というとすごい高いイメージがあると思いますが、高いのにはそれなりの理由があり、とてもいい材料であるのは確かです。

今回はそんなゴールドのいい点について5つに分けて説明していきます。

ゴールドとは?

 当院で用いているゴールドとは、金の含有率が80%を超えている金合金です。ゴールドといっても完全に金だけだと、性質上歯に用いることが難しいため、金合金になっています。

 金合金は金の含有量は増えれば増えるほど金属はより柔らかく、伸びやすくなっていきます。金箔をイメージしていただきたいのですが、金箔はとても薄いですよね?金属であそこまで薄く延ばすことができるのは金だけです。ほかの金属は途中でちぎれたり、薄く延ばすことができなくなります。

 その一方で強度はほかの金属に比べ弱いため、金合金として用いることで伸びる性質は持ったまま、丈夫な金属を作ることができるのです。


ゴールドのメリットとは?

 続いてはゴールドにはどんなメリットがあるのかを説明していきます。

 金は柔らかく伸びやすいとお話ししましたが、柔らかく伸びやすいとどんなメリットがあるのでしょうか?

 それはズバリ歯との適合の良さです!詰め物は虫歯によってあいてしまった穴に詰めるのですが、もともとは体にとっては異物なうえ、直接お口の中で形を作っているわけではないので、多少のずれや違和感が残ってしまいます。たまにとても正確に型取りをしているので隙間は存在しませんなどおっしゃている先生がいらっしゃいますが、そんなことは絶対にありえません。物は必ず変形してしますのでどんなに正確に型取りを行っても、必ずずれは生じてしまいます。しかし、ゴールドはこの問題を解決することができます!ゴールどの柔らかくて伸びやすいという性質を活かして、詰めた後に調整して歯にならすことができるのです!薄く伸びるので詰め物と歯の移行部分は徐々に薄くなることによって自然な感覚で移行させることができます。

 またつけたからも噛み合わせによって伸びていくので、噛み合わせに違和感がなくなっていきます。これは、ゴールドの詰めもの・被せ物に共通するメリットといえます。


間接修復のメリットとは?

 虫歯の治療には大きく分けて二つのやり方があります。一つ目が虫歯を削った後に直接穴を埋めてしまう直接修復、もう一つが型取りをして作った詰め物を詰める間接修復です。ゴールドは間接修復になります。直接修復は別のサイトにまとめてありますので詳しくはそちらをご覧ください。

 間接修復のメリットについてお話していきます。間接修復の一番の特徴は治療が基本的に口の外で進んでいくことにあります。もちろん虫歯をとったり、歯の形を作るのは口の中で行っていく作業になるのですが、詰め物を作ったり、それを調整したりという作業は口の外で行います。想像していただきたいのですが、口の中という狭い環境で正確に歯の形を作ることができるでしょうか。もちろん小さい範囲の虫歯なら歯の形を作る量が少ないので可能ではあります。しかし、歯の大部分を失ってしまったり、歯と歯の小さな隙間まできれいに形を作ることは不可能と言っていいでしょう。型取りをしてお口の外にお口の中を再現できれば話は違ってきます。本来お口の中なら見ることができない角度から歯を見ることができますし、本来修正できない角度からの修正も可能です。そのため直接修復より細かいところまできれいに治すことができるのがメリットになります。


型取りの材料による違いとは?

 当院ではお口の型取りに個人トレーという患者さま一人一人のお口の大きさにあったトレーを用いて型取りを行います。

 詰め物・被せ物の治療は即日でできるものではないため、お口の型を取って、お口の中を模型で再現してその模型に対してしっかり合う詰め物・被せ物を鋳造で製作することによって製作しています。そのため、再現した模型がうまくお口の中を再現できていなければ合うものは作れません。そこで当院では個人トレーという個人のお口にあったトレーを用いることによって口腔内をできるだけ正確に再現し、より合うものを製作しています。

 材料にはシリコンという材料を用いており、一般的な型取りの材料である寒天とアルジネートという2つの材料を用いた型取りより、変形量がアルジネートが最大15%ほどに対し、4%ほどしか変形しません。そのため、トレーを外す際はとても大変ですが、外した後の型取りの正確性にかなりの差が生まれるのです。


ゴールドとほかの詰め物・被せ物との違い

 ここまではゴールドの特徴と良さを説明してきましたが、ほかの詰め物と比較してそうなのかについても説明していきます。

 まずは保険診療で用いる金銀パラジウム合金ですが、金属であるため強度は高いです。金も少なからず入っていますが、含有量がかなり少なく、ほとんど金の性質はありません。そのため、硬すぎて違和感が出ることがあります。また、金合金よりも合金としての安定性が低いため、口腔内の様々な状況(例えば炭酸飲料を飲んだ後や、食いしばりや歯ぎしりなど)に耐えられず、少しずつ摩耗したり溶けだしていきます。そのため、隙間ができて虫歯になったり、歯茎に溶けて歯茎が黒く変色したりします。

 次に自由診療で用いられるセラミックですが、ガラスでできています。そのため、色は細かいところまで調整ができ、歯に近い色に合わせることが可能な材料になっています。その一方で強度は、力を加えても曲がりにくいですが、衝撃を加えると簡単に壊れてしまします。(イメージとしては陶器が近いです。)そのため、噛み合わせが強い人は割れてしまうことが多いですし、曲がりにくい性質から、入れた後の違和感を感じることがあります。

 最後に同じく自由診療で用いられるジルコニアですが、ジルコニウムという物質の酸化物です。強度は金属ほどの強度を持ち、色はセラミックほどではないですが、歯にある程度近い色を出すことのできる材料です。しかし、強度が高すぎるがゆえに金属を調整することができる材料を用いても調整することが難しくなっています。それほどの強度を持っているため、噛み合わせる歯が少しずつ摩耗していってしまいます。入れた後にも調整がうまくできないと、かなりの違和感が残るうえにほかの健康な歯へダメージを及ぼすことがあります。

 上記の材料に比べると、色調の面では劣ることがあるかもしれませんが、噛み合わせや適合を考えたら圧倒的にゴールドが勝っていることが分かると思います。