当院では白い材料としてグラスアイオノマーセメント(以下GI)を用いて治療を行っています。
一般的に白い材料で用いられるのはレジンという材料ですが、GIと何が違うのかについて4つに分けて説明しています。
まずはGI(グラスアイオノマーセメント)(以下GIと表記します)についてお話していきます。
GIとは歯科材料の一つで、粉と液を混ぜることで固まるセメントのことです。色は歯の色に近い色をしているものもあります。粉と液を混ぜるだけで固まる性質を利用して、虫歯をとった後に直接穴を埋める材料として使われます。見た目もいいため当院では主に直接見える前歯の治療や頬っぺた側の虫歯の治療に用います。直接虫歯の穴を埋める治療を直接修復と言いますが、当院では直接修復にこのGIとアマルガムの二種類を用いて治療を行っています。ほかの歯科ではCR(コンポジットレジン)という材料を用いることが多いです。
次の項目では、直接修復の材料を比較して説明していきたいと思います。
GIは直接修復に用いることができ、歯の色に近いことが特徴ということは分かっていただけたと思います。ここからはなぜ当院がGIを用いているのかについてメリットの話を含めて説明していきます。
GIの粉にはフッ素を放出する成分が含まれています。フッ素はいろいろなところで聞くと思いますが、フッ素には歯の成分を変えて虫歯になりにくくする性質や虫歯菌が糖分を利用して酸を生成するのを阻害する性質を持っています。そのため、フッ素を放出しているだけで虫歯になるリスクがかなり抑えられます。つまりGIは詰めるだけで同じところが虫歯になるリスクを下げたうえで周りの歯が虫歯になるリスクも下げることができる材料なのです。
これに比べレジンはフッ素を放出する成分はないため、同じところが虫歯になってまた治療が必要になってしまうことが多いです。見た目はきれいになりますが、また治療が必要になってしまうなら歯にとっていいことではないということは言うまでもありません。
アマルガムは抗菌作用が強く、強度も高いためGIに比べていいところが多いですが、見た目が銀色で目立ってしまうため、見えるところ(主に前歯や頬っぺた側の虫歯)にはあまり適していない材料になります。
このページのトップにも書いてある親和性材料とはどういう意味なのかについて説明していきます。
直接修復は虫歯だったところに詰めるという性質から神経に近いところに材料がを詰める必要があります。この時材料が神経に対して悪影響を及ぼさないかどうかもすごく大事になってきます。ほとんどの材料は神経に対して少なからず刺激を与えてしまう性質があります。そのため、虫歯をしっかり取って綺麗に詰めたとしても材料が神経を刺激することで神経の炎症が起きてしまい、神経の処置を行わなければいけない事態になってしまいます。
しかし、GIは神経に刺激を与えることがほとんどなく、神経に近いところに詰めたとしても神経に影響はほとんどありません。そのうえフッ素を放出して歯質を強化してくれるので、再治療になることが少なく、深い虫歯も神経の処置をせずに治せる可能性が高い材料なのです!
ここまでGIについてお話してきましたが、特徴とどこに詰めるかについてまとめてお話していきます。
GIの特徴はフッ素を放出することで虫歯を予防すること、粉と液を混ぜて固まるので直接修復に用いられること、神経に刺激性を持たないため深い虫歯に詰めても大丈夫なこと、歯に近い色であることが挙げられます。この特徴から虫歯の治療には全部使えるように思えるかもしれませんが、GIは強度が高くないこと、歯と接着する力がそこまで強くないことという特徴も持っているため、噛む力がかかるところや大きい虫歯で歯と接着する面積が小さくなるところへの治療にはあまり適していない材料です。
以上の特徴からGIが適している虫歯は前歯や奥歯の噛む場所以外の力がかかりにくいところになります。当院では噛む場所など力がかかる場所にはアマルガムを用いて治療を行っています。